FACTFULLNESS 要約・書評 思い込みを乗り越え、世界を正しく見る

こんにちは 意識高い系本屋店主のユウです

人間は思い込みをするものです

手に入れやすい情報がすべてだと思ったり、自分に都合のいい情報ばかりを集めたり

皆さんも思い込みが原因で失敗してしまったことはないでしょうか

情報がたくさんあふれている今の時代、情報を正しく判断して、いい選択をしたいと思う人はFACTFULNESS=事実に基づいて現状を正しく見ること、をタイトルにしたこの本を読んでみてください

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]
価格:1980円(税込、送料無料) (2022/4/10時点)楽天で購入
この本のスコア

ボリューム ☆☆☆☆・
読みやすさ ☆☆☆・・
視野が広がる☆☆☆☆☆

この記事を読んでほしい人

  • 思い込みが激しいせいで失敗してしまった
  • 世界のことを正しくとらえたい

あなたはチンパンジーより賢いか

この本はいきなりクイズからはじまります

そのうちの1個に挑戦してみましょう

現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう

A.20% B.40% C.60%

正解はCの60%です 

意外と高いんだなって思った人が多いんじゃないでしょうか

筆者のロスリングさんはこのクイズを講演で周ったいろんな国でやっているそうで、この問題については正答率の高い国でも11%の人しか正解しなかったそうです

世界について、多くの人が間違った思い込みをしていることがわかります

他の問題でも3択クイズで正答率が33%を下回ってしまうことから、ロスリングさんは3択からランダムに回答を選ぶチンパンジーにも私たちが負けてしまうと表現しています

情報を正しくとらえられない人間の10の本能

“FACTFULNESS”では僕たちが情報を間違ってとらえてしまう10の本能を紹介しています

どれも筆者のハンス・ロスリングさんの医師、公衆衛生学の教授としての経験を交えて解説されていて、自分にも十分に起こりうる勘違いだと思いながら読み進めていくことができます

”FACTFULNESS”には次の10の本能が登場します

  • 分断本能
  • ネガティブ本能
  • 直線本能
  • 恐怖本能
  • 過大視本能
  • パターン化本能
  • 宿命本能
  • 単純化本能
  • 犯人捜し本能
  • 焦り本能

分断本能 「世界は分断されている」という思い込み

人は誰しも、様々な物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまないものだ。そして、その2つのグループのあいだには、決して埋まることのない溝があるはずだと思い込む。

先進国と発展途上国。世界の国のことを知ろうとするときに、この国はどちらだろうという見方をすることは割とあると思います。

ですが、この見方が世界の見方を歪めてしまっているかもしれません

”FACTFULNESS”の中では様々なバブルチャートが登場しますが、この章では縦軸に5歳まで生存する子供の割合、横軸に女性一人当たりの子供の数のバブルチャートが登場します

女性一人当たりの子供の数が少なく、5歳まで生存する子供の割合が高いほど、先進国であると考えることができます

このチャートで見ると2017年のデータではほとんどの国が先進国の枠に収まっており、そのほかの国も先進国の枠並行している途中のものがほとんどです

日本人の目線でみると、自分たちと同じような生活をしている先進国とライフラインの整備もきちんとされていないような貧しい途上国みたいな、2つの分断されたくくりで考えがちですが、実際はそんなことはなくて、発展のレベルはグラデーションのようになっていて、しかも多くの国は先進国寄りにいるようです

ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み

世界のどこかで起きている戦争だったり、自然環境の破壊だったり、ニュースではネガティブな話題を見ない日はありません

こういうニュースばかり見ているとどうしても世界はどんどん悪くなっていると思ってしまいがちです

世界はどのように変化していると思いますか?という問いにはいろんな国で50%以上の人がどんどん悪くなっていると答えたそうです

悪いニュースはいつも突然で、僕たちにショックを与えます
そしてそういうニュースの方に飛びつきやすかったりもします

一方で世の中は少しずつ進歩していて、その小さな進歩の繰り返しが世界をいい方に変えてきました
ですが、その変化はゆっくりで細切れなのでなかなかニュースには取り上げられません
なにか優れた技術が生まれたとしてもそれがニュースになるのはノーベル賞をとったとかそういうときだけです

実際のデータからも世界がどんどんよくなっていることはわかります

Gapminderではアニメーションで1800年からの世界の人達の寿命の推移を見ることができます

Gapminder Tools
Animated global statistics that everyone can understand

たまに飢饉やスペインかぜや最近ではコロナのせい?と思われる落ち込みが1年だけあったりしますが、基本的にはずっと右肩上がりです

直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み

これまで世界の人口は増えてきました

13年後には約10億人増えるとも言われているそうです

ですが、”ひたすら”人口は増え続けると思いこんでしまうのは間違いで、これは”直線本能”に僕達が騙されてしまっているのかもしれません

世界の人口の推移のグラフをみると1900年代後半からカーブの角度は急激に上を向いてこれまで直線的に人口は増えてきたように見えます

こういうグラフをみるとこれからも人口は直線的に増えていって、100億人もあっという間に突破してしまうんじゃないかと思ってしまいます

ですが、女性1人あたりの子供の数は減っていく傾向にあり、子供の数は横ばいになっています

そのため、これまでのような速度で人口がひたすら増えるというのは直線本能による思い込みだと言えます

適当に選んだ4カ国の女性1人あたりの赤ちゃんの人数の推移 度の国でも時間とともに減少している
引用元:https://www.gapminder.org/tools/#$model$markers$line$encoding$y$data$concept=children_per_woman_total_fertility&space@=country&=time;;&scale$type:null&domain:null&zoomed:null;;&frame$speed:0;;;;;&chart-type=linechart&url=v1

恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み

関心フィルター

僕たちの心にある関心フィルターには10個の穴が開いています

その穴は”FACTFULNESS”で紹介される10個の本能と対応しています

僕たちの心に届くのはこの関心フィルターを通り抜けられる情報だけです

特に昨日までと変わり映えのないようなニュースは僕たちの心には届きません

なのでメディアは関心フィルターを通り抜けやすい、地震・戦争・病気といった話題を積極的に扱います

めったに起きないことの方が、頻繁に起こることよりもニュースになりやすいからです

こうして僕たちの頭の中は、めったに起きないことの情報で埋め尽くされていきます

特に恐怖本能を刺激するかどうかを報道する情報を選ぶときの判断基準にしているメディアが多いので、僕たちが勘違いをしないために気を付けなければいけません

恐怖本能

クイズ

自然災害で毎年なくなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?
A 2倍以上になった
B あまり変わっていない
C 半分以下になった

この質問の正解率は高かった国でも16%だったそうです

正解はCで実際には100年前の25%になっているそうです

アメリカの洪水による死者数 引用元:https://www.gapminder.org/tools/#$model$markers$line$data$filter$dimensions$country$country$/$in@=usa;;;;;;&encoding$y$data$concept=flood_deaths_annual_number&space@=country&=time;;&scale$type:null&domain:null&zoomed:null;;&frame$value=2008;;;;;&chart-type=linechart&url=v1

実際には災害による死者数は以前より減っているのに、さっきのクイズに正解率がチンパンジーより低いのはなぜでしょうか

これはメディアがどの災害も史上最悪であるかのように報道し続けるからです

長い時間をかけて、犠牲者がゆっくりと減り続ければ、それは”事実に基づく小さな希望”と呼ぶことができそうですが、メディアにとってはこれは人々の関心を集めることができる情報という判断にはならないようです

ファクトフルネスとは見出し

・恐ろしいものには、自然と目がいってしまうことに気づくこと
・恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく計算すること

Gapminderでカラーのfactを見る

”FACTFULNESS”の中でも紹介されているGapminderというサイトではいろんなテーマに沿ったFACTを動くグラフや写真や動画で見ることができます

よりリアルに世界を知るためにぜひ見るべきサイトです

店主の感想

この本にはたくさんの思い込み、勘違いが登場します

本に登場するのはどれも世界という大きい規模のものですが、どれも身近なことにも当てはまります

みんながこの本を読んで、みんなの思い込みがなくなって正しく世界を見ることができる人が増えればもっと平和な世界になるんじゃないかなって思いました

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]
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